2012年4月24日火曜日

「【今、何が問題なのか】子供の肥満は親のせい」:イザ!


 子供の肥満は親の責任であるとの認識が欧米諸国で広がっている。朝食を欠かさないなど、子供が太りにくい家庭環境を作らなければならないという。だが、親にそれができなかったら? 米国医師会誌(JAMA)に、極端に肥満した子供は行政が家庭に介入し両親から引き離して施設に入れるべきだとの論文が掲載され、議論を呼んだ。きょうのテーマは「子供の肥満は親のせい」とした。

 論文は「子供の命を脅かす肥満への行政の介入」のタイトルで、今月(7月)、JAMA電子版に掲載された。執筆したのは、ハーバード公衆衛生大学院のリンゼイ・ムルタさんと、系列のボストン子供病院の医師、デービッド・ルドウィックさんだ。

 極端に肥満した子供は米国に約20 0万人。このうちの一部に2型糖尿病や呼吸器、肝臓疾患などの症状が見られ、この先、命にかかわる恐れがある。子供たちを助けるには、行政が介入し、場合によっては彼らを施設に引き取る必要があるという。

 ■12歳で180キロ


大恐慌·ジャズの人々

 ルドウィックさんはこうした考えを抱くようになったきっかけを、AP通信に次のように語っている。

 数年前、ルドウィックさんのクリニックに、3歳で体重41キロの女の子がやってきた。両親はともに障害者で家庭は貧しかった。昨年12歳になったこの子は体重182キロ。2型糖尿病の症状があり、コレステロール値が異常で血圧が高く、睡眠時の呼吸障害があった。だが、施設に収容すると、特別なダイエットはしていないのに1年で体重は59キロ落ち、糖尿病、呼吸障害はなくなったという。

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記事本文の続き ルドウィックさんは「子供たちを施設から家庭に返すのが最終目標。この間、両親に対する食事メニューの指導などを行う必要がある」と語った。

 ■子育ての資格なし?


窒息乳児のCPR

 2人の主張について、ペンシルベニア大の生命倫理学者、アート・キャプランさんは「両親にだけ責任を押しつけるもの」と指摘。肥満の子供たちは、ファストフード・チェーンや食品会社などによるマーケティング、広告戦略の犠牲者であり、さらには、周囲の好奇の目やいじめにもさらされている。キャプランさんは「肥満解消には(家庭環境だけでなく)これらすべてを変えなければならない」と述べた。

 ロイター通信によると、論文発表後、ルドウィックさんらの元には、小さな子供を持つ親から、怒りのメールが多数寄せられた。子供を施設に収容するとはすなわち、一時的であっても養育権を取り上げるということなのだ。

 ルドウィックさんは� ��肥満の子供を持つ親が、役人がやってきて子供をさらっていくと聞いたら、おびえ、怒るのは当然」とし、「論文は行政の介入を呼びかけるもので、施設収容は最後の手段」と説明した。

 ■太りやすい家庭とは


肥満のアメリカ人

 フランス通信(AFP)が、子供の肥満と家庭環境との関連を調べた最近の研究を紹介している。

 オーストラリアのシドニー大は、学齢期の1685人の子供の体格と家庭環境を調べた。それによると、子供が肥満しやすい環境は、ソフトドリンクがいつでも飲める▽子供部屋にテレビがある▽よくファストフード店で食事をする▽テレビの前で食事をする▽1マイル(1.6キロ)以下の移動に車を使う-など。肥満させないためには、朝食を欠かさない▽運動を促す-などが重要であるようだ。

 一方、米アメリカン大などが国内10都市の900人の小中学生を対象に調べたところでは、母親が外で働く時間が長い子供ほど、肥満する傾向が強いことが分か った。働くおかあさんは、自分で調理する時間が少なく、できあいのものを買ってきて食べさせたり、一緒に外食したりすることが多いせいだろうという。できあいのものや外食メニューは総じてカロリーが高い。



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