気は人体に対してきわめて重要な作用をおよぼしており、さまざまな部位に分布しています。また気は、その種類によってそれぞれ独自のはたらきをもっていますが、それらの主な作用を概括すると、次の5つにまとめることができます。
[推動作用]
人体の生長・発育、各臓腑・経絡の生理活動、血の循行、津液の輸布は、すべて気によって推動されています。気虚となり推動作用が減退すると、生長・発育の遅れ、臓腑・経脈の機能減退、血行の停滞、水液の停留などの病変が現れます。
[温煦作用]
全身や各組織を温める作用です。人体が正常な体温を維持することができるのは、気の温煦作用の調節を受けているからです。気の温煦作用が減退すると、畏寒怯冷(異常なほど寒がる)・四肢の冷えなどが現れます。
[防御作用]
気には肌表を保護し、外邪の侵入を防ぐ作用があります。また外邪がすでに人体に侵入してしまった場合、気はこの病邪と闘って外へ追い出し、健康を回復させるようにはたらきます。
[固摂作用]
気の固摂作用とは体液が漏出するのを防ぐ作用で、血液が脈管の外に溢れないよう制御するはたらき、汗や尿の排出をコントロールするはたらき、あるいは精液を漏出させないようにするはたらき、などを指しています。
[気化作用]
気化という言葉には2つの意味があります。1つは気・血・精・津液のあいだの化生を指します。例えば精は気に化し、気は血に化します。この作用を気化と呼んでいます。もう1つは、臓腑のもつある種の機能を指します。例えば膀胱のはたらきである排尿作用は「膀胱の気化」と呼ばれており、三焦のもつ水液代謝作用は「三焦の気化」と呼ばれています。尿・汗などの物質の産生と代謝に関与する作用です。
以上、5つの作用はおのおの異なった性質をもちながら、互いに密接に関わりあい、相互に助けあって作用しています。
■ 気の運行
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