2012年6月3日日曜日

日本臨床麻酔学会 第22回大会:一般演題


日本臨床麻酔学会 第22回大会:一般演題

|| 一般演題 :産科麻酔A

1-087……人工弁置換術後患者における帝王切開術の麻酔経験
          (聖マリアンナ医科大学 医学部 麻酔学教室 立石 浩二)
1-088……急性脂肪肝を発症した妊婦の帝王切開術の麻酔経験
          (鹿児島市立病院 麻酔科 中川 玲子)
1-089……急性腎不全を合併したHELLP症候群2例の周術期管理
          (埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 周産期麻酔部門 河村 智永子)
1-090……肺高血圧症合併妊婦の帝王切開術の麻酔
          (社会保険広島市民病院 麻酔蘇生科 市場 稔久)
1-091……Marfan症候群合併妊娠に対する帝王切開術の麻酔経験
          (東京大学 医学部 麻酔科・痛みセンター 布施 彰子)
1-092……陳旧性心筋梗塞合併妊婦の周産期管理
          (埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 周産期麻酔部門 横田 和美)

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[1-087] 人工弁置換術後患者における帝王切開術の麻酔経験

10月31日(木) 15:30〜16:30

立石 浩二 1、西迫 良 1、西木戸 修 1、笹野 淳 1、岡本 康郎 1、舘田 武志 1、山中 郁男 1
1聖マリアンナ医科大学 医学部 麻酔学教室


高齢者うつ病の救済

人工弁置換患者は抗凝固療法としてワーファリンを投与されていることが多い。今回、僧帽弁置換術を受けた患者の帝王切開術の麻酔管理を経験したので報告する。【症例】31歳、女性。20歳時、感染性心内膜炎の診断で、他院にて人工弁による僧帽弁置換術を受けた。以後、抗凝固療法としてワーファリンを内服していたが、今回挙児を希望したため妊娠を継続し、帝王切開術による出産を予定した。手術19日前からワーファリンの内服を減量し、ヘパリンの静脈内投与へと抗凝固療法を変更した。手術開始4時間前にヘパリン投与を中止、妊娠35週1日で帝王切開術により出産した。【麻酔経過】麻酔方法は全身麻酔を選択した。チアミラールとベクロニウムにより麻酔導入し、児娩出まで酸素・亜酸化窒素・セボフルランで� ��酔を維持、児娩出後はフェンタニルを追加投与し、セボフルランを中止、プロポフォールで維持した。手術中の活性化全血凝固時間(ACT)は113秒だったが、ヘパリンの追加投与は行わなかった。アプガースコアは9点(1分)で、麻酔経過は問題なく手術は終了した。【術後経過】術後の心臓超音波検査で、人工弁の異常や血栓は認めなかった。術後1時間より抗凝固療法を再開し、ダナパロイドナトリウムを投与。術後2時間からは低分子ヘパリン、7時間からはヘパリンの投与へ移行、術後2日目にはワーファリンの内服を再開した。その他、術後経過に異常はなかった。【考察】人工弁置換術後でワーファリンを内服している患者では、外科手術に際し内服を中止し、ヘパリンによる抗凝固療法を行う事が推奨されている� �麻酔方法は、ヘパリン投与を考慮して全身麻酔を選択した。手術中はACTを測定し、抗凝固状態を確認する。今回は術後早期に抗凝固療法を再開することや、術後出血を考慮して、術中のヘパリン追加投与は行わなかった。【結語】ワーファリンを内服する人工弁置換術後患者の帝王切開術の麻酔管理を経験した。抗凝固療法についてあらかじめ麻酔計画を立て、術後も人工弁機能の異常もなく管理できた。

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[1-088] 急性脂肪肝を発症した妊婦の帝王切開術の麻酔経験

10月31日(木) 15:30〜16:30

中川 玲子 1、蓑田 祐子 1、永田 悦朗 1、坂元 美重 1、川口 泰史 1、吉嶺 孝和 1
1鹿児島市立病院 麻酔科


フレデリックスバーグ、バージニア州の痛みフリー歯科医

妊娠性急性脂肪肝は妊娠後半期に発症し意識障害をきたし肝不全を主徴とし、急激な経過をとる予後不良の疾患である。本邦では最初の報告以来30例以上の報告がみられる。今回、私達は急性脂肪肝を発症した妊婦の帝王切開術の麻酔を経験したので報告する。(症例)妊娠28週で切迫症状が出現。嘔気、嘔吐、食欲不振がみられ肝機能の上昇を認めた。体重減少もあり入院。妊娠34週で急激な腎機能と肝機能の悪化を認め帝王切開術を予定された。既往歴として生下時に十二指腸閉鎖に対する手術を受けていた。検査所見ではトランスアミナーゼの上昇(GOT302,GPT679)、ビリルビン値の上昇(T-Bil4.3), 電解質異常(Na 123,K 2.5,Cl 67)、腎機能低下(BUN 42.3, Cr 1.71)が認められた。凝固系や血小板は正常であった。(麻酔経過)麻酔はサイアミラール250mg, スクサメトニウム80mgでCrash inductionを行い酸素50%亜酸化窒素50%でセボフルランで麻酔し、児娩出後はフェンタニールとミダゾラムのNLAで維持した。母子ともに悪化することなく手術を終了し、抜管後帰室した。手術後3日で血液ガス分析の値は正常化し、腎機能は術後2日で、肝機能は術後10日で正常値になった。なお、術中肝生検で急性脂肪肝の確定診断がついた。(結語)急性脂肪肝を発症した妊婦の帝王切開術の麻酔を経験した。術前の状態を把握し、時期を逸さない迅速な対応が必要と思われた。

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[1-089] 急性腎不全を合併したHELLP症候群2例の周術期管理

10月31日(木) 15:30〜16:30

河村 智永子 1、横田 和美 1、内田 淳子 1、半田 冨美 1、照井 克生 1、吉田 昇平 3、小山 薫 2、宮尾 秀樹 3
1埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 周産期麻酔部門、 2埼玉医科大学総合医療センター 集中治療部、 3埼玉医科大学総合医療センター 麻酔科


背中腰の痛みの神経痛

HELLP症候群は、妊娠中から産褥期にかけて発症し、溶血、肝酵素上昇、血小板数減少をきたす病態である。今回われわれは、妊娠末期に急激に発症し、児の娩出後、急性腎不全とDICをきたしたHELLP症候群2例を経験したので報告する。【症例】2症例ともに、妊娠末期に急激な腹痛、嘔吐を主訴に前医入院し、常位胎盤早期剥離とIUFDの診断で急速遂娩(吸引分娩および帝王切開術)を行った初産婦。1例は乏尿と腟壁血腫増大のため分娩8時間後に、1例は乏尿のため分娩8時間後に当センターに搬送された。両症例ともに搬送時の検査結果から、HELLP症候群と診断し、急性腎不全とDICに対する治療を開始した。また、1例に対しては、全身麻酔下に腟壁血腫除去術を行った。両症例ともに、観血的動脈圧及び中心静脈圧モニター下に輸液、 輸血により循環血液量を補い、ドパミン、プロスタグランディンE1、フロセミドを投与したが、十分な尿量が得られず、腎機能が改善しなかったため、搬送当日より血液透析を開始した。1例はのべ185時間のCHDFと3回のHDを行い、1例はのべ29時間のCHDFを行い、血液透析から離脱した。退院時のクレアチニンクリアランスは両症例ともに約53ml/minと完全な回復は得られなかったが、血清クレアチニン値は正常範囲で一日尿量も十分なまでに回復した。【考察】HELLP症候群に合併する腎不全は、常位胎盤早期剥離やDIC、出血による循環血液量減少性の低血圧が大きな原因であるといわれている。今回の2症例はともに腎機能の完全な回復を得られなかった。原因として、前医において、輸液、輸血量が不十分であり、循環血液量の補充が十分に行われ ていなかったこと、当センターへの搬送までに8時間を要しており、その間に腎機能のさらなる悪化をきたした可能性が考えられる。HELLP症候群発症後の腎機能保護のためには、早期からの腎血流量の維持が重要であると考える。【結語】急性腎不全をきたしたHELLP症候群を2例経験した。

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[1-090] 肺高血圧症合併妊婦の帝王切開術の麻酔

10月31日(木) 15:30〜16:30

市場 稔久 1、多田 恵一 1、内藤 博司 1、鷹取 誠 1、武藤 純 1
1社会保険広島市民病院 麻酔蘇生科



肺高血圧症合併妊娠では、母体の周産期死亡率が高い。今回、我々は肺高血圧症合併妊娠の帝王切開術の麻酔を2例経験したので、報告する。[症例1]26歳女性。8才時に大動脈離断症の根治術を受け、経過観察を受けていた。心エコーで、軽度の肺高血圧症(収縮期肺動脈圧40mmHg程度)を認めたが、妊娠可能と判断され妊娠を継続していた。妊娠30週2日喀血、呼吸困難が出現。呼吸状態の悪化を認めたため、緊急帝王切開術施行となった。麻酔は酸素、ミダゾラム、ドロレプタン、フェンタニールにて行った。導入後、PAカテ挿入したところ、動脈圧83/47mmHg肺動脈圧103/73mmHgであった。薬物による循環動態の改善を図ったが大きな効果はなく、そのまま手術開始となった。術中も肺高血圧(100mmHg以上)持続していたが、手術終了後動脈圧30/13mmHg 肺動脈圧83/28mmHgとなったため、PCPSによる補助循環を開始したが、循環動態の安定が得られず、術後5日目に死亡した。[症例2]37歳女性。25才時にASD判明したが放置していた。妊娠20週に心エコーにて肺高血圧症(収縮期肺動脈圧90mmHg程度)を指摘され、以後も肺高血圧持続するため38週4日に帝王切開術施行となった。麻酔は硬膜外チューブ留置後ミダゾラム、フェンタニールで導入、セボフルレンにて維持した。導入後PAカテ挿入したところ、動脈圧93/60mmHg肺動脈圧33/25mmHgと落ち着いており手術開始となった。胎児娩出後肺動脈圧53/33mmHgと上昇したが次第に低下し、手術終了後抜管した。その後も特に問題なく経過し、術後3日目にICU退室した。[考察]妊娠に伴う循環血液量増大に対し、肺高血圧症患者は右室機能の十分な対応ができず、右心不 全に陥るものと考えられる。そのため肺高血圧症合併妊婦の帝王切開術には右室に負担をかけない麻酔管理が求められる。[結語]肺高血圧症合併妊婦の管理は、術中の循環管理が重要であると同時に、術前からの関係各科の協力体制が不可欠である。

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[1-091] Marfan症候群合併妊娠に対する帝王切開術の麻酔経験

10月31日(木) 15:30〜16:30

布施 彰子 1、澤村 成史 1、佐藤 可奈子 1、鎮西 美栄子 1、斎藤 勇一郎 1、関山 裕詩 1、花岡 一雄 1
1東京大学 医学部 麻酔科・痛みセンター



Marfan症候群合併妊娠では周産期に大動脈解離等の心血管系の重篤な合併症の報告が多い。我々は、著明な大動脈弁輪拡大と突然死の家族歴から、大動脈解離・破裂のリスクが高いと考えられる患者の帝王切開術を経験した。【症例】32歳、初産婦。身長176cm,体重60kg(非妊娠時53kg)。17歳時に母が大動脈瘤破裂により突然死。妊娠30週にMarfan症候群と診断。心エコーにて大動脈弁輪55mmと拡大を認め、妊娠35週に選択的帝王切開術が予定された。術前日に硬膜外カテーテルをL1/2より5cm頭側に留置した。観血的動脈圧測定を開始後、1%メピバカイン8ml、フェンタニル100mgを硬膜外投与し、T 6までの感覚遮断を確認した。4%リドカイン噴霧による局所麻酔を十分に行ったのち、プロポフォール2mg/kgボーラス投与後10mg/kg/hの持続投与でBISモニター下に全身麻酔を導入した。セボフルラン吸入で十分な麻酔深度を得た後、気管挿管した。麻酔導入12分後に児を娩出し、アプガースコアは1分後6、5分後9であった。術中は経食道エコーで大動脈の観察を続けた。術中から血圧コントロールのためニカルジピンの予防的投与を1μg/kg/minで開始した。挿管、抜管時に著明な血圧上昇はなく、術中の収縮期圧は125mmHg以下に維持された。術後はICUにて硬膜外鎮痛と降圧薬投与により厳重に血圧管理を行い、特に問題はなかった。【考察】本症例では硬膜外麻酔と全身麻酔の併用によって周術期のストレスを極力小さくできた。また、プロポーフォー� ��を用いた全身麻酔の導入・維持は、挿管・抜管に伴う循環変動を抑制するのに有用であったと考えられる。【結語】著明な大動脈弁輪拡大をみとめるMarfan症候群合併妊婦に対する帝王切開術を経験した。硬膜外麻酔とプロポフォールによる全身麻酔を併用し、良好な周術期管理を行い得た。

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[1-092] 陳旧性心筋梗塞合併妊婦の周産期管理

10月31日(木) 15:30〜16:30

横田 和美 1、半田 冨美 1、河村 智永子 1、内田 淳子 1、照井 克生 1、長井 智則 4、石澤 宗純 3、宮尾 秀樹 2
1埼玉医科大学総合医療センター 総合周産期母子医療センター 周産期麻酔部門、 2埼玉医科大学総合医療センター 麻酔科、 3埼玉医科大学総合医療センター 第3内科、 4埼玉医科大学総合医療センター 産婦人科



若年者における虚血性心疾患の発症はまれである.今回われわれは、陳旧性心筋梗塞合併妊娠の分娩管理をおこなったので報告する.【症例】28歳女性.1995年原因不明の急性心筋梗塞発症.冠動脈造影では、右冠動脈完全閉塞、左前下行枝50%狭窄が認められた.以後狭心症発作なく、外来でフォローアップされていたが、1998年より通院と内服を自己中止していた.入院経過:妊娠35週2日、陳旧性心筋梗塞合併妊娠管理目的にて当センター紹介.同日入院となった.入院後のエコーにてEF40-49%、ジピリダモール負荷心筋シンチにて前壁、後下壁の虚血心筋を認めた.分娩:帝王切開への速やかな移行や、急性心筋梗塞発症時のPCPS施行を可能とするため、産科手術室にて分娩を行った。心電図、自動血圧計、末梢酸素飽和度を装着し、動脈� �テーテル、Swan-Ganzカテーテルを挿入しモニターした.L3/4より硬膜外カテーテルを挿入し硬膜外麻酔下で、オキシトシンによる分娩誘発を施行した.子宮収縮毎に肺動脈圧と中心静脈圧の上昇を認めたが軽度であった。6時間誘発するも有効陣痛が得られなかったため、そのまま硬膜外麻酔を利用して帝王切開術となり、2932gの女児を娩出した.児娩出直後に血圧82/49mmHgと低下.胸壁心エコーにて、EF35%と低下し、左室容積が増大していたため、ドーパミン持続投与開始.術直後はEF53%に回復していた.術後:心拍出量モニタリング下に輸液負荷、尿量維持を行なった.疼痛に対しては、持続硬膜外注入を行なった.術後1日に、10秒間の無症候性の心室性頻脈出現するも、以降経過は良好だった.【考察】虚血性心疾患合併妊婦は今後増加す� �と予想される。その様な症例の周産期管理には、心疾患による緊急事態に加えて、産科的緊急も想定した麻酔計画が欠かせないため、産婦人科のみならず循環器内科、ME部と麻酔科が緊密に協力する必要がある。【結論】陳旧性心筋梗塞合併妊娠の周産期を、硬膜外無痛分娩を使用して安全に管理できた.

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